普段、従属官として俺の元で働くからは全く想像ができない程、それは甘く官能的な姿だった。
「ウル、キオラ……様」
名を呼ばれ、クラクラと頭の中が揺れた。愛する者に名を呼ばれ嬉しいはずなのに、それ以上名を呼ぶな、と頭の中で何かが叫ぶ。これ以上そんな風に切なく呼ばれては、どうにかなってしまいそうだった。初めてこんな姿のを目にし、肌に触れ、身体を重ね合わせようとしているのだ。溢れる愛しさを交わし合い、心は歓喜に震える筈だった……。しかし、感じるものは恐怖。この目眩にも似た感覚は、俺の中の獣が眠りから覚める前兆のようなものではないのか。これ以上、そんな瞳で見つめられ名を呼ばれたら、肌に触れたら……その小さな身体を無茶苦茶に壊してしまうのではないのかと……
恐る恐る、絹糸のような肌を滑った震える指先。指先を通して伝わってくるのはの熱。すると、ふいにが柔らかく微笑んだ。そして震える手に己の手を重ね、優しくゆっくりと撫でる。
「我慢、しなくていいんですよ。私は貴方の全てを見たいし、受け止めたいんです」
そう言ってまた微笑む。その瞬間、何かが頭の中で弾けた。が紡いたその言葉は俺の中の獣を覚醒させるには十分な呪文だった。その獣は奥深くで唸り声を上げながら、更に熱を増して膨張していく。
「その言葉、後悔するなよ」
「はい……大丈夫です。ウルキオラ様になら……」
何をされても。鈴の音ような声でが紡いだそれが合図だった。噛み付くように、艶のある赤い唇に口付けては、何度も何度も角度を変えながらその味を味わっていく。舌で隅々まで丹念に口内を舐め回し、の舌を捕らえては吸って甘く噛み付いた。小さく喘いでは唇から雫を零し眉を顰める姿にひどく興奮し、身体が一気に熱くなる。
そこから先はあまり覚えていない。断片的に覚えているのは、身体を大きく仰け反らせては震わせ、切なげに俺を求め続けるの姿。感情のままに何度も腰を打ちつけ犯した蜜壷から溢れ出てはの太股を汚し、そしてシーツに小さな水溜りを作った己の白い欲望。
愛しいこの女を、これ以上ない程に俺のモノで埋め尽くして染めてしまいたい……。そんな風に荒々しく欲望のままに抱いても、は俺の背に爪を立てながら必死にそれを受け止めた。そんな健気な姿にまた自身の熱が膨らんでいく。それでもは微笑んではそれをまた受け止める。額から大粒の雫を流しながら、だいすき、愛してると呟いて。
ああ、俺もだ。俺もを……、
「愛している」
覚醒した欲望
(そう呟いた直後、彼女は嬉しそうに涙を落した)それは甘い20題:17.めまい
(配布元:確かに恋だった)
(20170419)